大腸ポリープ発見率(ADR)
次に大腸ポリープ発見率についてです。
大腸カメラ検査を施行する医師は、腺腫性ポリープ(腫瘍性ポリープ)をいかにみつけることができるかに注力して検査を行っています。この指標として、「大腸腺腫発見率(Adenoma Detection Rate: ADR)」という指標があります。ADRとは大腸カメラ検査においてどれくらいの確率で腺腫性ポリープが発見されたかを表した数値になります。日本消化器内視鏡学会によるガイドラインでも、大腸カメラ検査において、この“腺腫性ポリープ発見率”が重要な“Quality indicator”としてあげられています。
ADRが重要な検査の質を表す
指標となる理由
ではなぜADRが重要な検査の質を表す指標となるのでしょうか?
これはこれまでにこのポリープ発見率に関する多くの研究がなされており、腺腫生ポリープ発見率(ADR)が1%上昇するとその後の大腸がん確率が3%低下するといった報告や、
ADR20%以上の内視鏡医とそれ以下の内視鏡医における将来の見落とし癌の発生率を比較検討したところ、ADRの低い群では大腸がん発生率が11−12.5倍高いことなど、多くのADRと大腸がん発見との関連性が報告されていることによります。
このADRは当然国際的にも認識されており、検査理由や母集団の年齢・性別、施設間で異なる可能性があるものの、米国ガイドラインでは、目標としてADRが男性で30%、女性で20%以上の検査精度が求められるとしています。
当院の大腸カメラ検査
当院の大腸カメラ検査では、
- 内視鏡専門医による丁寧な観察・診断
- より高い盲腸到達率(浸水下無送気軸保持短縮法)
- 抜去時間の確保(丁寧な観察)
- 検査食+検査前下剤による前処置
- AI内視鏡システムによる病変検出(検査医師の疲労度に依存しにくい検査が可能)
- 腺腫性ポリープ発見時には、当院にて日帰り大腸ポリープ切除まで対応
上記に注力することで、腺腫性ポリープ発見率を少しでも上昇させ、大腸がんの予防につなげることができるよう、日々内視鏡診療にあたっております。