こんな症状で困っていませんか?
- 下痢が出る
- 発熱する
- 腹痛がある
- 血便が出る
上記の症状が多数当てはまる方は感染性腸炎の可能性があります。
感染性腸炎について
感染性腸炎とは、分かりやすく言うとおなかにくる風邪で、細菌やウイルスが腸粘膜に感染することで発症する疾患です。よくノロウイルスなど感染性の危険な病気と認識されますが、ほとんどの場合は軽症で済むことが多いです。
主な症状としては、発熱や嘔吐、下痢などがあり、必ずしもお仕事や学校を休んで頂く必要はありません。ただし、症状が長引く場合や強い症状が出る場合はお早めに当院までご相談ください。
カンピロバクター腸炎
カンピロバクター腸炎とは鶏肉などに潜む細菌やウイルスが感染することで発症する腸炎で、右下腹部に痛みを伴います。
他にも血便や発熱などの症状を伴う場合がありますが、これは小腸と大腸のつなぎ目部分にあるバウヒン弁に潰瘍ができ、そこから出血することで起こります。
アメーバ赤痢
アメーバ赤痢とは、赤痢アメーバとよばれる細菌が感染することで起こる疾患で、特に衛生環境が整っていない地域でよく見られます。
食事よる経口感染や男性同愛者による性行為での感染が多く、腹痛や血便などの症状がでます。盲腸によく見られ、大腸カメラ検査で検査するともう腸粘膜に付着していることが確認できます。
クラミジア直腸炎
クラミジア直腸炎は、性交渉時に感染するクラミジアが直腸粘膜に付着することで発症する疾患で、粘膜に潰瘍を作って出血することで、血便や肛門通などの症状を引き起こします。大腸カメラ検査では発見が難しく、PCR検査で直腸粘膜を観察することで確定診断が可能です。
感染性腸炎の主な症状
主な症状として、腹痛や嘔吐、下痢、血便、発熱などを引き起こします。
診断では下痢症状の有無を確認します。
ウイルス性腸炎 | 細菌性腸炎 | |
---|---|---|
発熱 | 軽度の症状が多く、もしくは症状がない | 高熱が出ることがある |
腹痛 | 軽度の症状が多く、もしくは症状がない | ウイルス性腸炎に比べ、強い腹痛が生じる |
嘔吐 | 嘔吐を伴うことがほとんど | ほとんどない |
下痢 | 細菌性より重く下痢が高頻度で出る | 軟便や水分を多く含む水下痢を伴う |
血便 | 症状が出ない | 血便が出ることがある |
感染性腸炎の原因
感染性腸炎は細菌やウイルスが直腸粘膜に感染することで発症する疾患で、潜伏期間は細菌やウイルスによって異なります。
性交渉時に口内から小腸に感染し、そこから直腸粘膜に感染することが多いです。
感染すると粘膜がむくんでしまうため、食べ物や水分の流れをせき止めるようになり、胃の中で貯まってしまって最終的には嘔吐によって体外に排出されてしまいます。
感染性腸炎の治療
お腹にくる風邪と呼ばれるようにほとんどの場合は簡単に治せますが、基礎疾患をお持ちの方やお子さま、高齢者の方などは悪化しやすいので注意するようにしましょう。
細菌性の場合は抗生剤による薬物療法を行いますが、ウイルス性の場合は特効薬が現在のところ開発されておらず、下痢などで失った水分を補給するために点滴投与を行います。
患者様の多くが下痢止めの処方を希望されますが、細菌やウイルスが原因のためにお薬の力で下痢を止めてしまうとかえって悪化するリスクがあります。
対策としては水分補給をこまめにとって頂くことがベストです。症状は細菌性の場合は1~2週間程度、ウイルス性の場合は数日で良くなります。
基本的には重篤な疾患ではないので、ほとんどの場合は水分補給や点滴投与によって完治することが多いです。稀に血便を伴い、重症化する場合もあるのでその場合はお早めにご相談ください。
感染性腸炎の対策・対処法
ご家族など生活を一緒にされる方の中で感染者が出た場合は以下のような対策を行い、感染者を増やさないように気を付けてください。
手洗い・消毒
帰宅時や肉・魚・卵触れた際、感染者と接触したなどのタイミングで、こまめに手洗い・消毒を行うようにしてください。
特にノロウイルスはアルコール耐性を持っているので、ご家族に感染者がいる場合は塩素系漂白剤を薄めて、患者様がよく触れるドアノブや便器などを除菌するようにしましょう。
食品の加熱、包丁・まな板の殺菌
食べ物からの感染も多い疾患なので、病原体を死滅させるためにも生ものはしっかり中まで火を通すようにしてください。また、まな板・包丁も80℃以上の熱湯で5分以上つけ置きするのが理想ですが、難しい場合はドラックストアなどで販売されているエタノール消毒液で除菌するようにしましょう。
嘔吐物・糞便の片付け
感染者の嘔吐物や脱糞を処理する際には、1回限りの使い捨てのマスク・手袋・エプロンは必ず着用し、ペーパータオルで拭き取り、次亜塩素漂白剤などでしっかり消毒、水拭きを行ってください。
使用したマスク・手袋・エプロンは他の人に触れないようにすぐにゴミ袋に入れ、空気感染しないようにしっかり口を縛るようにしてください。
また、処理の際に空中にウイルスや細菌がまっている可能性があるので、しっかり換気も行うようにしましょう。