ピロリ菌と胃がんの関連性
ピロリ菌は慢性胃炎(萎縮性胃炎)や胃潰瘍、十二指腸潰瘍といった消化器疾患のリスク要因ですが、その中でも最も注意が必要なのが「胃がん」です。
癌疾患における胃がんの罹患者数は「男性:3番目、女性:4番目」、死亡者数は「男性:3番目、女性:5番目」となっており、非常に怖い病気であると言えます。
本記事では、胃がんとピロリ菌の関連性について解説していきます。
ピロリ菌に感染した際の
胃がんリスク
ピロリ菌が胃がんのリスク要因であることは様々な論文で発表されており、ピロリ菌陽性者は陰性者に比べて胃がん発症リスクが5倍も高くなると言われています。更には、隠れ陽性者も含めるとそのリスクは10倍程度になると考えられています。
また、日本国内においては胃がんの約99%がピロリ菌感染によるものと考えられています。そのため、日本ヘリコバクター学会のガイドラインでは、ピロリ菌に関連する疾患の治療および予防のため、ピロリ菌感染者のすべてに除菌療法を受けることが強く勧められています。
「陽性胃がん」と「除菌後胃がん」
ピロリ菌に感染している状態で発症した胃がんを「ピロリ菌陽性胃がん」、ピロリ菌の除菌後に発症した胃がんを「ピロリ菌除菌後胃がん」と言います。上述の通り、ピロリ菌は胃がんのリスク要因であるためピロリ菌陽性胃がんは当然存在しますが、注意が必要なのは「除菌後でも胃がんを発症するリスクがある」という点です。
これは、ピロリ菌の除菌に成功したとしても、ピロリ菌に感染している間の萎縮によって蓄積された胃がん発生リスクは残ってしまうためです。つまり、除菌時に胃粘膜の萎縮が強く現れているほど、その後の胃がん発生率が高くなると考えられます。
また、除菌後胃がんには、表層部に特殊な病理組織学的変化を伴い、内視鏡的に質的診断や境界診断の難しい病変が約40%程度みられると言われています。そのため、ピロリ菌感染の既往歴がある方は、「年に1回の胃カメラ検査」を受けることが推奨されています。
ピロリ菌の感染予防
上述の通り、ピロリ菌は胃がん発症リスクとなるため、感染を予防することが非常に重要になります。とはいえ、ピロリ菌は上下水道設備が整っていないなど、不衛生な環境が感染の原因と考えられているため、衛生環境が整っていなかった年代の方の陽性率が高く、 若い年齢層での感染率は低くなっています。
そのため、乳幼児期の衛星環境を徹底すること(口移しで食べ物を与えない、清潔な手で乳幼児に接する)が大切になります。子供の未来を守るためにも、まずは自身がピロリ菌を保有していないかをしっかりと検査し、仮に保有していた場合には除菌治療を徹底しましょう。
当院は、消化器診療・内視鏡検査に注力しているクリニックとして、患者様に苦痛の少ない内視鏡検査をお届けできるよう、日々研鑽を積んでいます。内視鏡検査を受けることを検討されている方は、下記より当院の内視鏡検査の特徴をご確認下さい。