食道がんについて
食道がんは腺がんと扁平上皮がんの2種類に分類され、日本では食道がん患者のうちほとんどはは扁平上皮がんにあたります。腺がんは欧米で多く、逆流性食道炎が原因の食道粘膜の炎症が長期化することによるバレット上皮を発生母地とし、日本でも食事の欧米化が進むことで今後増加していくと予想されています。
日本では食道がんは、男性に多く、年代別で見ると60-70歳台に多くみられます。
また、重複がんと言われる異なる部位にがんが同時または別の時期に発生する確率が高いとされており、重複の多いがんは咽頭がん、喉頭がん、胃がんなどが多いです。胃カメラ検査では、咽喉、喉頭、食道、胃を詳しく調べられるので、食道がんの気になる方は、早期発見・早期治療のためにも定期的に胃カメラ検査を受けることをお勧めします。
食道がんの症状
早期のがんには自覚症状はなく、人間ドックの胃カメラなどで偶然見つかることもあります。40歳以降は、定期的な胃カメラ検査を受けることをお勧めします。
がんは進行すると、食べ物を飲み込む際につっかえる、しみる、胸・みぞおち・背中の痛む、咳、声がかすれる、体重減少、貧血症状などの症状を引き起こします。特に食事をする際に食道につっかえたような感じが何度もある方は、専門医に相談の上、一度胃カメラ検査を受けることをお勧めします。
食道がんの原因
日本人の食道がんはほとんどが扁平上皮がんであり、一番のリスクとなるのは飲酒と喫煙です。飲酒によって顔が赤くなる体質の方は習慣的に飲酒することで食道がんのみならず、咽頭がんや喉頭がんの発症リスクが高くなるとされています。この原因は、アルコールを分解するときに発生する発がん物質のアセトアルデヒドの分解が遅く、体内に蓄積されてしまうためです。長期間の飲酒・喫煙歴のある方は定期的な胃カメラ検査をおすすめします。
腺がんの場合は食道粘膜の慢性的な炎症が原因になるとされています。特に逆流性食道炎の長期化によって、食道粘膜下部が胃粘膜化するバレット食道が一定以上に拡がった場合は腺がんを発症させる可能性が高く注意が必要です。逆流性食道炎は欧米型の食生活や肥満、喫煙、姿勢などの生活習慣が原因で再発する可能性が高いため、医師の指導の下で生活習慣の改善、投薬受けるようにしましょう。
食道がんは進行がんとなると抗がん剤、放射線、外科手術と集学的治療が必要となり、早期発見・早期治療の意義は非常に大きいものと考えます。
食道がんの検査
食道がんの検査は胃カメラ検査で行います。食道粘膜に疑わしい病変があれば、特殊光による観察や、拡大機能が搭載されたスコープでの観察、染色液などを用いてより詳細に観察し、病理組織診断でがんかどうかの最終判断を行います。
当院では最新の内視鏡システムを導入し、経験豊富な専門医が微細な病変も見落とさないように詳細な観察を胃カメラ検査で行います。
患者様には負担がかからないようにご希望の方には鎮痛剤を使用するので、リラックスした状態で検査を受けられるので、初めて検査を受ける方もご安心ください。
食道がんの内視鏡検査
当院では最新鋭の内視鏡システム、スコープにり検査を行って詳細な食道観察を行います。
特殊光観察によって病変の指摘をより確実とし、拡大観察機能によってより詳細な血管の変化を観察し炎症による変化から食道の前がん病変、食道がんを疑う病変の診断を行い、組織検査によってより確実に診断いたします。
食道がんの治療
早期発見できれば、胃カメラ検査を使用した治療(ESD:内視鏡的粘膜下層剥離術)で完治を期待できますが、進行している場合は放射線療法、化学療法、外科手術を組み合わせた高度な治療が必要です。食道は周囲に気管や大動脈、心臓、肺などが位置していることもあり、外科手術は身体的な負担が大きい治療となります。
早期発見できれば身体への負担も少ない内視鏡による治療を行うことができるため、定期的に胃カメラ検査によって早期発見することが非常に重要であると言えます。